物理を考慮した進化


6輪機構登場

1990年代はCPUボードやバッテリーは巨大なものが多く,どうしても低重心・低慣性モーメント機体を作ることができなかった.
そのため,補助輪に取られる加重を無視することができず,
いかにして補助輪に取られる加重を最小限にし,動輪に最大限の加重をかけ,タイヤの摩擦力を稼ぐかが取り組まれた.

結果的にステアリング機構を持った機体が多く作られ,車輪の数も3~6輪とバラエティーに富んでいた.
特に最終系である6輪機構ロボットは,
加減速時の機体のピッチ軸回転力をタイヤに伝える機構を持っており,猛威を振るった.

シンガポール勢の襲来,シンプルは強かった

2000年代に入ると,少しずつCPUボードの小型化・バッテリーの小型化が進み,ロボットの大きさは小さくなっていく.
そして,2003年,シンガポール勢が2輪板マウスをひっさげ日本に来襲.
2輪板マウスは,低重心低慣性モーメントが徹底されており,大変シンプルな機体であった.
しかしその速さは本物で,地面をより強く蹴る工夫をするよりも,シンプルに低重心低慣性モーメント機体を作ったほうが速かった.
彼らは,全日本大会優勝者の座を長年にわたって独占する.

シンプルじゃなくても,力で無理やり走れば速いじゃないか

吸引機構を持つロボットが登場.
多少重心が高くなっても,力でロボットをおさえつけ,それ以上の力で無理やり走ればいいじゃないかという発想である.
最高速・最大加速度は,ほかのどの機構のロボットよりも高く,そのスペックは圧倒的.
特に2010年はひどく,吸引マウスが失敗することを祈るしか,他機構のマウスは勝つ手段はないという状況だった.

しかし,吸引力・制御性がスカートの性能に大きく依存しており,その物理的チューニングには相当な職人芸が必要な模様.
安定して走行することが難しく,なかなか日の目を見ていない.

シンプルかつ,高性能の欲張りさん

2008年頃,
2輪の低重心低慣性モーメント性を維持しつつ,地面からの摩擦力をより多く稼ぐ4輪機構が登場.
2輪板マウスのシンガポール勢と,4輪機構の日本人勢の壮絶な戦いが繰り広げられる.
2010年,4輪機構マウスの日本人勢がついに全日本大会優勝の座を奪い,
シンガポール勢の連勝記録を7でストップさせる.

ただし,4輪機構のポテンシャルを引き出す制御の実装は難しく,ジャイロがなければその場回転すらできない.
機体にシンプルさと高性能化を欲張りに組み込んだツケが,
回路・ソフトウェアに押しつけられているとも言えるかもしれない.