動力の伝達


ラジアル荷重

モータの軸を横から強く押すことを考えよう.あまりに強く押すと,モータの軸が折れたり,軸受が損傷する.モータの回転軸と垂直方向に加わる荷重をラジアル荷重という.ギア伝道の場合について,どの程度ラジアル荷重がかかるのか検討する.

モータ軸に直接平歯車を取りつけてトルク伝達を行う場合を考えよう.圧力角度20°のギアの場合,伝達系には以下のような荷重が発生する.

(1)    \begin{align*} F=\frac{2T}{d_p\cos 20} \end{align*}

ただし,

  • F\displaystyle[N]:軸荷重
  • T\displaystyle[Nm]:トルク
  • d_p\displaystyle[m]:モータに取り付けられたギアピッチ円直径

である.

これより,ギアピッチ円直径を小さく設定しすぎると,モータ自身のトルク出力によって,軸受を損傷させてしまうことが分かる.では,どの程度ギアピッチ円直径を確保すればよいのか検討しよう.

ストールトルクで見積もり

たとえば,1717006SRの場合,ストールトルクが5.34\times 10^{-3}\displaystyle[Nm]である.
ラジアルトルクの最大値は,sintered boronze sleeves(standard)のものを選んだ場合は1.2\displaystyleNである.ゆえに,

(2)    \begin{align*} d_p=\frac{2T}{F\cos 20}=\frac{2\times 5.34\times 10^{-3}}{1.2\cos 20}=9.47\times 10^{-3} \end{align*}

9.47mm以上のギアピッチ円直径が必要であることがわかる.モジュール0.5の歯車を採用するなら,19枚以上の歯車に設定する必要がある.

軸受としてball bearings (optional)を選んだ場合は,ラジアルトルクの最大値は5\displaystyleNである.この場合は2.27mm以上のギアピッチ円直径が必要であることがわかる.モジュール0.5の歯車を採用するなら,5枚以上の歯車に設定する必要がある.

推奨値で見積もり

ストールトルクは,モータの軸を固定した条件でどの程度トルクが出るかを見積もっている.逆起電力が0であるため,電流は最大値流れ,連続で駆動しつづけるとコイルが焼き切れる.ゆえに,機械の安全性を見積もる方法として,定格運転必要値を求め,それに安全率をかけたもの採用する方法も考えられる.1717006SRの場合,2\times 10^{-3}\displaystyle[Nm]以下での運転を推奨している.軸受のオプションとしてsintered boronze sleevesを選択した場合,3.54mm以上のギアピッチ円直径(モジュール0.5の歯車なら8枚以上)が必要であることがわかる.軸受のオプションとしてball bearingsを選択した場合,
0.85mm以上のギアピッチ円直径(モジュール0.5の歯車なら2枚以上)が必要であることがわかる.これに安全率(20%など)をかけた数値以上になるように機体を設計すればよい.

結論

sintered boronze sleevesとball bearingsのうち,後者のオプションを選べば,ラジアル荷重については十分安全である.ダイレクトドライブマウスにする場合は別途検討が必要.