タイム測定器


概要

マイクロマウスはスタート区画からゴール区画までの走行タイムを競う競技である.
そのため,ロボットがスタートラインを横切ってからゴールラインを横切るまでの時間を測定することが必要である.
現在のマイクロマウス競技では,柱に穴をあけ,光ファイバーを通してセンシングすることがなされている.
しかし,この手法はファイバーを通すための穴加工や,ファイバーへセンサーを固定するノウハウなどが必要であり,
アマチュアがお手軽に作成できるものではない.
また,完成品は一般には販売されておらず,我々が想像する値段より1ケタ高価である.

一方,近年,チップセンサー・LEDが多く発売されており,
センサーを柱に埋め込むことが可能になってきた.
そこで,本稿では,チップセンサー・LEDを柱に埋め込んだ,簡易横切りセンサーの開発を行う.

従来研究

クラシックマウスにおける計測装置では,CPUを作ろうが詳しい.
また,Miceでは,さくらねずみ3部室迷路の動画にあるように,
迷路の上空にセンサーを置く測定器を開発したようである.

マイクロマウスにおける柱

以下の図はマイクロマウス(ハーフサイズ),クラシックマイクロマウスで使われている柱である.
前者は幅1.38mmの溝,深さ1.5mmの溝を,
幅1.15mm,深さ2.99mmの溝を持つ.
ハーフマウスの方が溝が多いことに注意されたい.
ハーフサイズ柱クラッシック柱

柱の追加工

以下のように,柱の溝をヤスリで延長する.
(ハンドドリルなどでおおまかに削ってからヤスリで加工すると楽です.5分くらいでできます)
柱の追加工

回路の設計

選定基準は

  • RSオンラインでさっさと買えること.
  • 溝に組み込める大きさであること
  • LEDの指向性が高いこと

として,
受光センサーとしてSFH-3710-3/4を,
発光センサーとしてNESB007Aを選定した.
NESB007A

回路は,

  • 5V-LED-抵抗R1-GND
  • 5V-Tr-抵抗R2-GND

とする.(そのうち回路図としてちゃんとあげるかも)

NESB007Aの順電圧は3.6-4.0Vであるので,電源として5Vのものが必要である.
また,絶対最大低格として,順電流15mAである点に注意する.
R1=1KΩの抵抗を使用すると,(5-3.6)/1000A=14mAと,スペックをギリギリまで活用できそうである.

R2は実験的に求める.
テスターを使って,GNDとTr-R2間の電圧値を計測する.

  • R2=500,1KΩの場合,1区画分の距離をあけると,0.01V程度しか通過/非通過で値がかわらなかった.
  • R2=100KΩの場合,1区画分の距離をあけると,通過/非通過で4.8V/4.9Vの差が出た.使えなくはない.
  • R2=10KΩの場合,1区画分の距離をあけると,通過/非通過で0.33V/0.54Vの差が出た.この中では最もマシと言える.

組み立て

設計した回路を組み立てる.

線材は以下のようなものを使った.細い線を使わないと,柱の溝に線を通すことが出来ないからである.
線材

チップ部品の配線(しかも空中配線)に抵抗のある方もいるかもしれない.
しかし,意外と大したことない.
チップ部品をセロテープで仮止めし,動かないようにしてから半田付けを行うと楽である.
はんだはeco solder RMA02を使った.
あまりにも安物の半田を使うと,半田が粘ってやりにくいかもしれない.
チップ部品

以下のように配線したセンサーを壁に埋め込む.
追加工で延長した溝に線を通すことがポイント.
配線したセンサー

マイクロマウス競技規定より,床面より5mmのところにセンサーとLEDを固定する.
固定はアロンアルファで行った.
固定時には,センサーの角度が正しくなるよう押さえつけること,
そして,押さえつけすぎると配線が切れることに注意する.

配線したセンサー2

左側がセンサー,右側がLED.

後は,こいつをマイコンにつないでソフトウェアを書けば完成・・・のはず.

を参照しつつ,環境構築できたらいいな.

ホール効果の検証

第一回勉強会で,覗き穴をあけ,その裏側からセンサーをつければ指向性があがるのではないかという指摘があった.
のぞき穴効果について検証する.

ホール効果 ホール効果2

図のように,柱に穴をあけ,裏側にセンサーをアロンアルファで固定する.
穴の大きさが1.5mmの柱と,1mmの柱を製作・準備した.
コネクタ

マウスの柱を差し込む穴は,Φ4mm程度しかない.そのため,ステレオジャックコネクタを通すことは出来ない.
(100円ショップで大量にイヤホンケーブルを買いこんでから気付いた.)
ゆえに,図のようなmil規格のコネクタを抜き差し用コネクタとして使った.
system1 system2

図のように,ストロベリーリナックスで取り扱っているARMボードを用意する.
これにシリアル書き込み回路(ADM3202のいつものやつ)を拡張したものを用意する.
BOOT0ピンが外部コネクタとして出ていないので,ジャンパー部から空中配線でタクトスイッチへ配線している.
シリアルの書き込みケーブルは,ステレオジャックを経由することにした.
「Dsub9p<-->ステレオジャックの変換コネクタ」がジャンク箱に転がっていたため,
ステレオジャックは抜き差しへの耐性が強いと思われるためである.
センサーテスト1センサーテスト2

実際にセンサー・LEDを埋め込んだ柱を迷路板に実装した.
左図は1.5mm覗き穴付き柱の発光状態,
右図は覗き穴なし柱の発光状態である.
1.5mm覗き穴付き柱はボンボリのような状態になっており,光が外部に散乱してしまっている.
物体の通過を検知できるか試したところ,
覗き穴なし柱は通過を検出できなくはないが,
覗き穴あり柱は発光部を受光部に極端に近付けても反応がなかった.
1mm覗き穴つき柱も同様の結果であった.
以上のように,覗き穴効果を得ることは出来なかった.

一方,覗き穴なし柱は,外光によってバイアス成分が大幅に変わるものの,
物体の検知ができなくはないセンサー出力を確認した.
すなわち,LEDとセンサーの間にマウスがいるときは,0.22V,
LEDとセンサーの間にマウスがいないときは0.12Vのセンサー出力を計測した.

以上より,
発光側の強度の向上と,受光・発光側の波長の整合が重要課題であることが分かった.

ARMを使った計測システムの開発は,書き込みが正しく終了したことを確認するにとどまった.